長い間、自分にとっての一番の成功は「ドーパミンが出る幸福」を得ることでした。
それも「お金持ちになりたい」という欲望の最たるもの。
このドーパミンを分泌させるための成功は、けっして悪いものではないのです。しかし、人生の最優先事項にしてしまうと、逆に成功から遠ざかってしまうことがわかりました。
ほとんどの人は、成功と聞くと「お金持ちになること」「出世すること」「起業して会社を上場させること」などを連想します。
自分もそうです。
たしかに、これらを目標に持つこと自体は悪いことではありません。
でも、そのために、健康を害し、心を病み、家庭を崩壊させ、孤独になってしまっては意味がありません。
じつは、人間の基本となる成功(幸福)は、健康や人間関係といった当たり前のことなのです。
当たり前と書きましたが、これらが満たされていない人が多いのです。
成功の方法は、成功をあきらめること!?
「成功したい」という思いは、ほとんどの場合、利己的なものです。
ネットやSNS、動画サイトの恩恵で、一般人でも「成功するためには?」や「南の島で不労所得を得るには?」など、 「成功する」というイメージが利己的なものになっているからです。
本来、成功とは自己中心的な願望の実現だけを意味してはいませんでした。
犠牲の上に成り立つ成功?
ビジネスにおいて家族や健康を犠牲にしてでも、成果を上げることが最優先と考えられていた時代がありました。
誰もが心のどこかでそのことに疑問を感じながらも、まわりに流されて仕事だけを頑張っていました。
ところが、出世もして年収も上がり、仕事では大成功を収めたのに健康を害してしまったり、家族との関係が悪くなってしまったという話を聞きます。
仕事を頑張って、成果を上げること自体が悪いわけではありません。
しかし、多くの人は、仕事の本来の目的を見誤ってしまいます。
仕事は、自分が出世して、多くのお金を稼ぐことが目的なのでしょうか?
それも間違いではありません。
しかし、理想の仕事像は「永続的に社会に価値を提供し、人々やこの世界を幸せにすること」です。
宗教的なことではなくて、それが、本来の仕事の在り方なのです。
自分が生きていくためだけに仕事をするわけではないのです。
だから、いくら自分の家族だからと言っても、その人たちを幸せにすることをおろそかにしてはいけないのです。
もちろん、それができている人もたくさんいます。
まず身近な人をお金以外でも幸せにしてみよう
きっと、ほとんどの人は、家族を養うためにがんばって仕事をしています。
でも、その仕事でお金を稼ぐことをあまりにも優先するあまり、その大切な家族が犠牲になっていませんか?
仕事はきちんとすることが大切です。
でも、その仕事の本当の意味は、家族や身近な人を含めた人々や社会に永続的に価値をあたえ、幸せな社会を作っていくことなのではないでしょうか?
目の前の利益だけを優先して、大金を手にしても、人間はそれだけでは幸せを感じ続けることはで来ません。
人間が最も充足感を得る方法は、人間という種族を発展させるようなことに力を注ぐことです。
本当に自分がやりたいことは、独りよがりなちっぽけなものではないはずです。
人間はそのようにできていません。
最終的には、多くの人が喜ぶ姿を求ることに満足します。
身近な人すら笑顔にできない人間が多くの人を笑顔にできるとは思いません。
組織のメリットとデメリット
一人の人間が使命を全うしようとしても小さなことで終わってしまうでしょう。
これだけ、現代に企業が多いということは、それだけその形態が必要とされているということです。
一昔前は、それぞれの家族や親せきが事業を行い、代々子や孫に受け継がれていく社会でした。
それも、一人よりは効率的かもしれません。
しかし、現代ではそれよりも大きな使命を果たすために、株式会社などの法人を作り、家族や親せきだけではなく、同じ使命を感じた人たちが仕事をしています。
そもそも、組織は、より効率的に社会に永続的に価値を提供するために適した形態でした。
しかし、多くの人は、その本来は社会のために存在する会社を自分の都合に利用するようになりました。
あまりにも会社をいう存在が力を得たためです。
ある程度、自分が毎日価値を提供できなくても、決まったお金を手にすることができます。
会社によっては、一般よりも高いお給料が安定的に支給され、万が一病気やけがで働けなくなっても保障されます。
だんだんと人々は、自分の使命よりも自己都合、つまり、自分のために仕事を選ぶようになっていったのです。
それを否定するつもりはありません。
組織は、業務をより効率よく行うためにルーティン化していきます。
ルーティン化された業務は、より多くの商品やサービスを提供できるようになります。
しかし、あまりにも業務が作業的になると、人は業務の意味を見失います。
そして、その業務が間違った方向に進んでいてもなかなか気付けません。
社会が求めるニーズとかけ離れた商品やサービスを提供していることに気付いたころにはもう手遅れになってしまいます。
もちろん、すべての組織がそうではありません。
ますます、早くなる社会のニーズにより早く対応できるように、世界の優秀な経営陣が軌道修正しながら、社員たちに正しい業務を与えているのです。
組織のメリットは一人よりも大きな事業をできることにあります。
それは、なぜでしょう?
それは、業務をルーティン化することで習熟度を上げられるからです。
さらに、より専門的な知識を得ることで、より価値のある商品やサービスを社会に提供することがで来ます。
その専門的に習熟した技術や知識を持ち寄り、一つの事業に投入できるので、一人では一生かかってもできないようなことができます。
これは、人間が行える素晴らしいことです。
しかし、逆にただ肥大化しただけの組織は、そうではありません。
さきにも書いたように、自己都合でその組織に入ってきた人間は、使命がわかっていません。
自分の居場所や権利を主張するだけで、その会社をいい意味で利用して社会に永続的に価値を提供することを考えていません。
使命が明確な人は別ですが、とりあえず、まわりの評価が高い大学や企業に入れば安心できると考えている人には、この意味が分からないかもしれません。
自分さえよければいいという考え方では、今後、生き延びていくことはむずかしくなってくるでしょう。
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