最近では、ノンシリコンシャンプーも一般的なものとなり、発売当初に比べれば、かなり、低価格なのもの見受けられます。
しかし、本当にノンシリコンシャンプーが優れたシャンプーなのか、シリコンが入っていないというだけで髪や頭皮に良い影響を及ぼすのか、疑問符が付きます。
そもそも一般的にシリコンと呼ばれるものは英称で、日本語ではケイ素のことです。
炭素に類似している部分も多く、人体への悪影響も少ないことから、医療の分野に於いても広く利用されています。
耐熱性にも非常に優れていて、日常生活において熱で変性することは滅多にありません。
手触りも伸びがよくベタつきはなく、サラサラしていることから、化粧品の分散剤(界面活性剤の一種、水と油の混ざりをよくする。)としてもよく使われています。
では、なぜ、こんなにも使い勝手が良く、人体にも優しいシリコンが悪者になってしまったのでしょう。
ひとつには、シャンプーなどに入っていると頭皮の毛穴に詰まってしまうという噂がありました。
よくマイクロスコープなどで頭皮の毛穴を200倍ほどに拡大した写真が載っていて、毛穴に白い塊が付着している画像が使われていました。
あたかもその塊がシリコンであるかのように言われていましたが、シリコンオイルの凝固点は非常に低く-50度でも流動性を保つそうです。
さらに、炭素と違い空気中において酸化しないので、まず、毛穴に固まって詰まってしまうことなど、ありえないようです。
つまり、ケイ素は空気酸化しないので固まらないので、毛穴に詰まるように付着することはありません。
その白い付着物は紛れもなく、自身の皮脂が酸化してできた角栓だったのです。
では、どうして、私たち消費者は誤ったイメージを持ってしまったのでしょう。
そこには、美容師の立場から見たもう一つの異なる不都合な理由があったのです。
シリコン自体は固まりはしないのですが、シリコンオイルが髪に付きすぎると髪自体がその油分で必要以上にコーティングされてしまい、特に髪の細い人やダメージが強く出ている人は髪がベトベトした質感になってしまい、人工毛のようにカラー剤やパーマ液が効きづらくなってしまいます。
当然、髪に油が付いているのと似た状態になるので、ドライヤーで乾かしてもなかなか乾きませんし、常にじっとりして毎日シャンプーしているはずなのに何日もお風呂に入っていないかのような髪になっていまうという現象に見舞われる人が続出しました。
美容室でカラーリングやパーマをかけようとしても当然うまくいきません。
カラーリングにおいてはまず、明るくなりにくくなりますし、そもそも髪自体がベタベタと重くなっているので、仮にパーマがかかったとしても到底ふんわりした質感になど仕上がりません。
美容師にとって、非常に施術を施しにくくなり、求める仕上がりになりにくくなってしまうのです。
そして、過剰にシリコンの添加されたシャンプーやコンディショナー、トリートメントの使用を控えるようにお客様に伝え始めました。
『今後は、シリコンのあまり入っていないシャンプーなどを使ってください。』と。
シリコン自体は何ら悪いことは無いのですが、シャンプーやコンディショナー、トリートメントなどにあまり多く含まれていると、このような弊害をもたらしてしまいます。
実際、ハイダメージのある髪にはシリコンでコーティングするのが一番だと思いますし、むしろ、髪自体死滅細胞なので、それぐらいしか手触りを改善するには方法がありません。
シリコンは過剰に使ってしまうといけませんが、適度(髪の状態に合った)に含まれる分には何ら問題は無かったのです。
実は、メーカーによって多少の差はあるにせよ、シリコンは全体の数パーセントほどしか含まれません。
それよりも、一番多く含まれているのは洗浄成分である界面活性剤なのです。
およそ、3割ほどが界面活性剤であり7割ほどが水。
残りの数パーセントに香料や保存料、シリコンなどの手触りを良くする成分が含まれています。
何を隠そう、この界面活性剤こそが、今現在の多様な髪の状態に大きな影響を及ぼしているといっても過言ではないのです。
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